更新日:2023年06月02日
西海中学校だより~効果は漢方薬のようにじんわりと~
「中学校からのお便り」と聞いて、皆さんはどんな内容を想像しますか?
生徒の活動や活躍など「生徒」にスポットを当てたものを想像される方が多いのではないでしょうか。
こういうはじまりということは、、、そうです!今回は違います!
今回の主役は『先生』です‼
児童生徒の「学力向上」を目指し、西海市では子どもたちの力を伸ばし自信をつけさせるための取組として「西海市AI(あい)プラン」や「学びの土台づくり推進事業」などを行っているところです。
そのような中、指導する先生たちは、その目標に向かって具体的にどのような取組をしているのか、西海中学校のようすを取材しました。
▲実際の授業を参観しているようす
この日は西海中学校で定期的に行われている「授業研究」の開催日。
授業研究とは、実際の授業を複数の先生が参観し、授業の進め方や使用する教材など授業の内容について意見交換を行い、「授業の質」や「先生の意識」の向上を目的に行っているものです。
西海中学校では、この授業研究を2週間から1か月に1度のペースで行っています。
授業では「西海市の防災」をテーマに、生徒たちが「市民の防災意識を高めるには」の課題解決のために話し合うようすを先生たちが参観。
また、授業後には外部から特別講師を招き、授業研究会と研修会も行われました。
~授業研究会の概要~
1.まずは、今回の授業を担当した先生が準備や目的、形式など授業全般について説明
2.その後、参観した先生たちがグループに分かれ、公開授業の「良い点・改善点」などを協議
3.最後に、グループごとにまとめた意見を発表し、授業者と質疑を行いました
1.担当した先生から授業についての説明
1.グラフも用いて視覚的にわかりやすい説明
2.今回は3つのグループに分かれて協議しました
2.意見の取りまとめに熱が入ります
3.グループごとにまとめた意見を発表しました
3.グループごとに特色ある発表でした
▲講師の稲葉義治さん
~研修会概要~
講師 稲葉 義治(いなば よしはる)さん
「学びの共同体」の提唱者 佐藤 学(さとう まなぶ)さんに師事し、自身の教員としての経験を生かして数多くの講演等を行っています。
研修会では、稲葉さんも、参観した授業について、授業中の写真を交えての振り返りや今後の西海中学校の学力向上に係る取組について提案を行ったほか、これまでの講義型の授業から「主体的・対話的で深い学び」への転換の必要性について話されました。
▲時にユーモアを交えながら非常にわかりやすい講義でした
▲研修会のようす
▲先生たちの真剣な眼差し
~先生たちに1日を終えての感想を伺いました~
授業を行った川口範子(かわぐち のりこ)先生(国語科)
「(授業は)とても緊張しました。今日1日を通して、『誰一人取り残さず、生徒同士が互いに学び合える授業』を行うことが大切だと感じました。また、NIE(教育に新聞を)や図書館教育、ICTの技術を活用しながら『自分の意見を書く』という作業を今以上に取り入れていきたいと思います。西海中学校の子どもたちには、個性と西海spiritを大切にしながら元気に前向きに、国語の勉強も頑張ってほしいです」
松本香織(まつもとかおり)先生(社会科)
「授業研究では自分の授業を振り返り、反省の連続でした。また、これまで『知識』を教えたうえで『考えさせる』ものだと思っていましたが、研修会を通してゼロから『まず考えさせる』という作業の大切さに気付きました。まず考えて、気付くことが知識を定着させる重要な要素だと感じました」
川崎信幸(かわさきのぶゆき)さん(西海市教育委員会スーパーバイザー)
「これまでの講義型から生徒の主体性を引き出す教育への転換は、これまでにない授業形態の大きな変化になると思います。この転換を行うにあたっては、生徒以上に先生たちのエネルギーが必要です。生徒たちがこれからの社会を生き抜ける力を養えるよう、先生たちをサポートしていきたいと思います」
今日の取材を通して印象に残ったのは、講師の稲葉義治さんの言葉です。
「学力向上の取組は、すぐに効果が表れるものではなく漢方薬のようにじわりじわりと効いてくるものです。目的をもって着実に継続していくことが何よりも大事」
また、先生たちは単に勉強を教えるだけではなく、生徒たちが将来社会に出たときに生き抜くための術を授業や日常の関りを通して伝えようとしていると改めて感じました。様々な情報が溢れ、手を出せばすぐ手に入る世の中だからこそ「まずは自分で考える」という姿勢が大事なのかもしれないですね。